御櫛宮略御縁記

[神仏]御櫛宮略御縁記



       略 御 縁 記
 夫愛敬は人の身の艶にして神社の荘厳も萬人の信を取らしめんが為なり
 抑当社御櫛宮八品大明神と申し奉るは稲田姫の御神霊にして世に恵方歳徳神と祭奉るは此御神也
 則八将神の御母神にして本朝貴賎男女の髪を結化粧身仕舞の道をおしへ給わんが為にゆづのつま櫛を造りて髪かたちの目出度からん事をおしえ男女の愛敬夫婦和合の道を守り悪事災難厄病を拂 金神方違等の祟を免れ福徳円満ならしめんとの御誓にして利現を招くに諸願成就せずといふ事なし 
 しかるに数千歳当所に御鎮座在といへども纔仮宮にまします故世の人御恩化御利益のふかさを知人少 依今般神社修覆いたし神愛の色どりを凡人より助力して子孫長久利現を招き給へと敬白
       但し委敷は延喜式故事記日本紀に見へたり
       依て荒ゝ披露いたし候也
                            摂州東成郡桑津北かわ
                                  御 櫛 宮