特許から見た「二股ソケット」の問題

heisai2006-07-29


 27日・28日のこのブログに、『松下幸之助 創業者物語』や幸之助さんの自伝のことを少し詳しく書いた。
実は、『松下幸之助 創業者物語』をご恵贈下さった福井庄司氏からはもう一冊別の冊子を頂いていた。
   工業所有権教育用副読本  『特許から見た産業発達史』(2001、企画/特許庁、制作/㈶知的財産研究所)というもので、上の画像はその内容の一部(P35)である。


 ◑ さて、『特許から見た産業発達史』の掲載写真の「二股ソケット」は、その説明文で述べられているところの「二股ソケット」ではない。
 すなわち、松下さんが実用新案を取得した「二股ソケット」は、このパンツ型ではなく、自伝の記述に従えば当時『二灯用差込みプラグ』と呼ばれたもので、この写真とは形状が全く異なる。
 『二灯用差込プラグ』という製品も、電気を二つに分けるものであるから、広い意味で「二股ソケット」と呼んで一向に差し支えないと私は思っているが、形状的には二股という感じのものではない。(電灯用ソケットの胴体側面に、延長コードのプラグを接続するための受け口がある。機能としては「一灯一差し」である)
 『二灯用差込プラグ』の写真は、松下電器歴史館公式サイトの「展示製品ご紹介」
http://panasonic.co.jp/rekishikan/product/product.html
に掲載されている。

 ◑ そして、前述した『松下幸之助 創業者物語』でも、その絵物語の中では「二股ソケット」の記述は全く無く、年譜に『大正7年、「アタッチメントプラグ」「二灯用差し込みプラグ」など製造』と出てくるだけである。そこでは昭和2年発売の『ナショナルランプ』(自転車・手提げ兼用の角型ランプ)の方を大きく取り上げている。

 ◑ この両書の食い違いの原因等については、拙稿『”二股ソケット”とは何か』
http://research.php.co.jp/kenkyu/report/pdf/k_kenkyu/ajiro051101.pdf
に詳述しているので、ここでは述べない。


 ● 特許・実用新案の詳細は、特許庁のDB(データベース)↓で確認できる。
http://www.ipdl.ncipi.go.jp/Tokujitu/tjsogodb.ipdl?N0000=101
このDBの下の方、文献種別の記入欄に z(半角のゼット)を、
文献番号の記入欄に下記の数字を入力して、「文献番号照会」をクリックすると詳細が表示される。
「二灯用差込プラグ」は下記の名称で3種類登録されている。

・ 大正9年 挿込栓付栓承口→54028
・ 昭和2年 栓付挿込承口 →109584
・ 昭和3年 挿込栓付承口 →121293

※ これらの登録名の意味は、「差込プラグ付きの、プラグの受け口」。
※ パンツ型やト型の二灯用クラスタ(通称「二股ソケット」)にはその番号がない。
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 今日の朝刊にちょっとうれしいニュースが。(松下さんに関しては だが)

高倉健さん・田中角栄元首相・松下幸之助氏の顔写真>
高倉健さんら6邦人選出  中国に影響与えた世界50人

 28日付の中国紙、環球時報は「近代中国に影響を与えた外国人50人」についての特集記事を掲載、レーニンらと並んで、田中角栄元首相、俳優の高倉健松下幸之助氏ら日本人6人を取り上げた。

 田中元首相については、日中国交正常化に政治生命をかけて臨み「中国に誠心誠意謝罪した」と指摘。中国映画「単騎、千里を走る。」に主演した高倉健を「男らしさを持つ性格俳優」とし「中国の男性映画ファンが崇拝、女性ファンは『理想の男性』とみた」と評価した。松下氏は「経営の神様」で「中国でも松下氏のような傑出した企業家が生まれてほしい」とした。
(ほかには伊藤博文昭和天皇・岡村寧次の三人の人の名が挙げられているそうだ)
 日本人以外では、マルクスニクソン米大統領ゴルバチョフソ連大統領、ビル・ゲイツ氏、北朝鮮金日成元主席らが名を連ねた。
 同紙編集部が中国社会科学院の研究者らと協議、1840年ごろから現在までの人物で150人の名簿を作った後、50人に絞り込んだ。(共同)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060728-OHT1T00176.htm