「難波津の歌」についての雑記
[猪飼野]「難波津の歌」についての雑記(続)
(8/24)のブログの続きである。音韻の問題は素人には難しい。
そこで、横野万葉会で万葉を講じておられる****先生(犬養門下の学者。現在、甲陽学院高校教諭。南都明日香ふれあいセンター犬養万葉記念館運営協力委員・白鹿記念酒造博物館評議員。専攻は日本近代史)にお尋ねしてみた。
わたしの理解の範囲でまとめると要点は次のようになる。
1. 日本語の発音は室町時代位から現代音に近い方向に変化してきている。
ただし、個々のことばについては、個々に検証しないとわからない。
2. なには は古代は なにfa と発音したのだろう。が、なにわ と
発音されるようになっても、なには の表記は近世近代まで続いた
のだろう。発音の変化と表記の変化は同時進行するとは限らない。
3. 雲明自身にとっては、なにわは なにわと発音し、春方は はるfe
と発音したのだろう。朗詠する場合の音の流れからすれば、はるbe-to
よりも はるfe-to の方が 自然なのだろう。
4. いまは と いまを の問題も 朗詠した場合の音の流れの美しさが
重視される。美しい発音で伝承される。万葉集・古今集の歌は著作権が
あるわけではないから、そういう変化の例はいくらでもある。
とのことで、目からウロコのお話であった。