倉西裕子先生の【紀年論】を読む

[歴史]倉西裕子先生の【紀年論】を読む

 『日本書紀の真実―紀年論を解く―』(講談社選書メチエ・2003)を
読み返している(前回=2009・03・15)。しかし、極めて難解である。
 神功紀が複数の紀年(ある紀元から数えた年数の列)で構成されている(=第三章 神功紀の「紀年」)ことは、まぁ理解できるのであるが、
<第二章 応神元年から雄略五年までの編年>
の部分は、一層複雑である。A・B・C・Dの4種類の年数列に加えて、記の崩年干支(Z列)までも視野に入れた著者の考証は、尋常な思考ではない。
 しかも、神功紀が実年代を120年引き延ばした分だけ、応神―雄略紀が120年圧縮していて、プラマイ0とは・・・。この点を解明をしたのは、那珂通世博士以来のことではなかろうか?

 しかし、日本書紀の編者はなぜそこまで複雑な操作をせねばならなかったのか?・・・・・その点を理解するのは、拙者にはまだまだ遠い先のことである。
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内容紹介
『書紀』に織り込まれた年代列の謎
天皇の並外れた長寿と在位期間、中国史書に明記されながら特定できない「倭の五王」。1300年にわたって日本人を悩ませ続けた、『書紀』の非合理的な記述の謎。これらは『書紀』の編纂者が合理的に用意した!?すべてを「紀年」の鮮やかな切り分けにより解き明かす!
著者からのコメント
日本書紀』の編年には多くの不整合や矛盾があります。『日本書紀』の成立以来、一千年以上にわたって、その不可思議な編年は謎であり続けました。本書では、神功元年から雄略五年までの間は、プラス・マイナス120年構想のもとに、多列・並列構造となっていることを解明しています。ようやく、『日本書紀』は、各々の紀年に対応する実年代を求めることができるようになってきたことになります。
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日本書紀の真実-紀年論を解く-』を読んで (より転載)↓
http://blogs.yahoo.co.jp/kamitukeno_k/60927454.html
<平斎の日記>日本書紀120年繰上げのカラクリ(より転載)↓
http://d.hatena.ne.jp/heisai/20090315
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↓【倉西先生のご学問所】
http://www3.plala.or.jp/kuranishigakumon/
↓【日本書紀紀年法入門】
http://www3.plala.or.jp/kuranishigakumon/history1.html