漢字を増やすな

[雑記]漢字を増やすな

 昨日、偶々拾い読みした本が藤堂明保の『漢字の過去と未来 岩波新書, 1982』で、これに「漢字を増やすな」という主張が述べられていた。
 例えば、
膨脹→膨張 のようにすれば「脹」の字は不要
というような主張だったと思う。
 それが今日の朝刊に、
「畿」など191字追加 新常用漢字、文化審了承
の見出しで、大きく載せられていたのには驚いた。
「畿」や「虎」などのように認められて当然、というような文字も少なくないが、下記のような文字などはまったくどうかと思ってしまう。

招(聘)・(訃)報・謙(遜)・(梗)概・真(摯)

 これらはよく使う熟語の二字のうちの片方である。
しかし、()内の文字一字だけを取り出した場合、その文字の正確な意味を答えられる人が果たして何人いるだろうか。

 こういう(熟語形成数が少なく意味が分かり難い)文字は、招へい・ふ報・謙そん・こう概・真し などと混ぜ書きにしておくしか仕方がないのではないかと思う。(ただし、辞典には載せておく)

 それはそれとして、<「虎」入り「鷹」落選>など、文化審(文化審議会漢字小委員会)の出す結論は何だかこっけいだ。

 なお、今日1月28日という日は、中国が1956年「簡体字」を発表した日、というのも妙な巡り合わせ、というべきか。
 
※実はこの日、破(綻)の(綻)の追加に対しても疑問を呈したのであるが、今日になって(綻)は「ほころび」だったことを思い出したので、この分のクレームを撤回した。
 ただし、である。文化審はこの字に対し「タン」という音読みしか認めていないが、これが問題だ。「ほころび」という訓読みをも認めてこそ「破綻」の意味が解るのではないだろうか?。(1/31記)