分祀祭の祝詞

[靖国問題]分祀祭の祝詞

 最近、倉庫を整理していたら面白い資料が見付かった。
 8月4日に「昭和天皇が懸念(A級戦犯合祀「禍根残す」)」(大阪日日ほか)の記事が出たことでもあるし、未解決の問題でもあるので、ちょっと時期外れの感はあるが、一応メモしておきたい。

 その資料は、『最新 祝詞文例集』(昭和26年4月 神社新報社刊)という。
 目次は、
1.神社恒例祭祝詞(例祭・春祭・秋祭・神幸祭
2.神社臨時祭祝詞(鎮座祭・本殿遷座祭・仮殿遷座祭・合祀祭分祀・・・)
などとなっている。
 「合祀祭」の内訳は、
・ 合祀神社合祀前(神社合併の場合)
・ 被合祀神社  (〃    〃 )
・ 合祀神社合祀後(〃    〃 )
・ 本殿合祀前  (祭神増加の場合)
・ 仮   殿  (〃    〃 )
・ 本殿合祀後  (〃    〃 )
・ 慰霊安鎮を本義とする神社合祀祭
となっている。

 本論に関しては、最後の「慰霊安鎮を本義とする神社合祀祭」の例が最も関係が深い。

 しかし、最も肝心なのは次の「分祀祭」の祝詞である。
 「分祀祭」の祝詞も2つに分けられる。
・ 本殿・・・(A)
・ 新殿・・・(B)
 その意味は、「付記」に次の通り示されている。
●「付記」 分祀祭本殿並びに新殿祝詞は、曩(さき)に合祀せる祭神を再び旧鎮座地に奉斎する場合に用ふ。

●「分祀祭」祝詞の抄録。
(A)・・・「この大宮に鎮座せる何大神を、御縁深き旧地(もとのところ)に斎ひ祀らむと、・・・遷奉り鎮奉らむとす。・・・」
(B)・・・「久しく何神社に鎮座せる大神霊を、この新殿に迎奉り斎ひ鎮め坐奉りぬ。・・・」

という具合に旧・新殿において祝詞を奉る。

※ これは神社合祀によって一つの本殿に祀られた祭神の一部を、もとの鎮座地に還座する場合の実例である。
※ 「宗教法人法」に基づく『神社規則』の【祭神変更】には、
  1.増祀
  2.減祀
  3.祭神名変更
 の別があり、靖国神社分祀問題」というのは「2.減祀」に該当する。

 靖国さんは「うちはこれ(減祀)は絶対できない」とおっしゃる。靖国神社が「靖国教」という独自の教義を主張するなら、これは傍(はた)から「できる」「できない」という論議をしてみても詮無いことであろう。
 ただしその場合、靖国神社には、そのような教義がいつ確立したのかを明確に表明する責任があるし、その「ろうそく理論」をあたかも神社神道の公理であるかのように説く、インチキだけは引っ込めて貰わないといけない。