山頂不明の金鳥山に登る


 きのうのブログで紹介した佐々木道雄氏の住まいは、神戸の本山町である。昨年の正月、佐々木氏のお宅へ遊びに行き、そのついでに近くの「金鳥山」に一緒に登った。昨年(2005)は酉年でもあり、そのエトに因む金鳥山に登ってみるのも面白かろう、と思ったのである。
 金鳥山は、「カタカムナ」という得体の知れない宗教?(宗教ではないかも知れないが、私にはよく分からない)に深い関係がある。電気物理技術研究家・楢崎皐月(こうげつ)という人物が、昭和24年頃この山で平十字(ひらとうじ)というふしぎな老人から受け取ったのが”カタカムナ文献”で、これに基づく「相似象(そうじしょう)学会」というものがあって、けっこう知的レベルの高い人たちがこれを真面目に研究しているとかいう話だ。
 それはともかく、本山町から北へ真っ直ぐ登って行くと、”灘の一つ火”か何かで有名な「保久良神社」を経て、金鳥山に至る(ということになっている)。ものすごく急な坂道を登りきって神社に辿りつくと、神社の脇に金鳥山に至る登山道がつながっている。相当に登って登り切った所に、電波用か何かの鉄塔があり、誰が書いたものか分からないが「旗振山」の文字とその説明を記した小さな看板が取り付けられていた。そこからは少し下りになっている。これはどうも、どこかで道をまちがえたに違いない、と判断し諦めて山を降りることにした。そして大分下った所で、山登りのベテランらしい恰好をした人が登ってくるのに出会った。その人に尋ねてみると、ここからもうすぐだという。そこでその人の後ろについて登ってゆくと、再び旗振山の鉄塔まで戻って来た。そして今度はその先の下り坂をしばらく下ってゆくと、分岐点があり左手が登りになっている。その人と別れて少し登った所に平坦地があり、三角点の標石とそれにロープが巡らせてあって、「金鳥山」という文字や三角点についてのいろいろな説明板が賑やかに掲示されていた。
 佐々木氏と私はこれに大いに満足し、達成感を満喫してその日は下山したのである。

 しかし、その後、地形図と実際に辿ったコースとを考え合わせてみると、どうも納得しがたい点がある。
 よくよく考えてみると、我々が到達した三等三角点は標高424メートル。金鳥山は338メートルということになっているようだ。それでは全然ちがうではないか。ネットで検索してみると、果たして、この三角点を金鳥山とすることに疑問を呈しているサイトがあった。後日、国土地理院で「点の記」を調べてみると、この三角点の点名は「本庄山(ほんじょうさん)」である。
(三角点の所在地:兵庫県神戸市東灘区本山町森村字本庄山748-2番)
 「点の記」には標高は明記されていないが、その紙面の下方に5万分の1の「要図」という小さな図が載せられていて、これを参照すると、結局「旗振山」の看板のあった鉄塔の辺りが本当の金鳥山であるらしい。
 ネット上で参照してみても、「どこが金鳥山の山頂かよく分からなかった」という記事が散見される。
 「旗振山」や「金鳥山頂上三角点・松観望」などと、まことしやかな表示を取り付けたのは、一体何者なのだろう。
 これは危険に結び付くほど悪質なものではないかも知れないが、実に迷惑な話である。多くの人が登るハイキングコースなのであるから、神戸市ももう少し管理をしっかりとして貰わないといけないのではないか。

 それにしても、平十字(ひらとうじ)というふしぎな老人が現れたという場所や、「カタカムナ神社」などは一体いずこに?????。
<参考サイト>カタカムナhttp://hccweb6.bai.ne.jp/dante/katakamuna/katakamuna02.htm