「本」の神様

heisai2006-06-15

【承前】
 つまり、谷沢先生は多分、『名言随筆サラリーマン』という「原題」をうっかり失念されて、のちに「改題」された「新装普及版」の方のタイトルを口にされた訳であろう。
 しかし、この講演を拝聴したその同じ月に私がこの「改題」本に巡り合ったということについては、どうも、単なる偶然という気がしないのである。
 というのは、こと本に関してはこういうラッキーがけっこう度々あるので、私は信仰心の極めて乏しい方であるけれども、どうも本の神様みたいな「誰か」が私の「運」をどこかでコントロールしているのではないか?というような感じがしてならないのである。
 (「求めよ さらば与えれん」という”お告げ”の言葉もある位だから(http://meigen.shiawasehp.net/prov/045.html)例えば、お金をこよなく(熱情的に)愛する人には多分、お金の神様の加護があるのだろう。だが、その成功を100パーセント自分の”実力”と思い上がった時、ドーンと一挙にツキに見放される破目になるのではなかろうか?−という気もする。まぁこれは最近のホリエモン・村上ご両人の事件についての感想であるが・・・。)


 そんなことはともかく。
 ネット上の情報によると、この本にはもう1種類のバージョンが存在するのかも知れない。
 文藝春秋の「PICK UP」というサイト・岡崎武志『古本屋の棚から見た新書盛衰記』の記述によれば(http://www.bunshun.co.jp/pickup/genres/okazaki01.htm)、
『随筆サラリーマン徒然草』−副題「ユーモア新論語」−(六月社/昭和三十年)
となっている。
 不可解なのは刊行年が昭和三十年となっていることで、その通りとすれば、同じ年に同じ本が同じ出版社からふた通りの題名で刊行されたということになる。そんなことが本当にあるのだろうか?。
 岡崎氏は、この本の相場は1万円以上−と書いておられるが、そんなものではないだろう。現に【日本の古本屋】サイトで検索すると、ある古書店が35万円(=元版)をつけている。古書価は需給関係で決まるから、市場に1冊しかないとなればこの高値も已むを得まい。
 それを岡崎武志氏は別バージョンとはいえ、この本を古本屋で百円で買ったと言う。
 この人にはきっと「本の神様」が憑いているに違いない。



※写真・・・新装普及版『ビジネスエリートの新論語』カバーを外して写す。